メルマガ80号
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日本エコミュージアム研究会メールマガジン 80号 <2014.4.15>
発行人:吉兼秀夫 編集:中野喜吉
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華やいだ桜の季節も、ほぼ終わろうとしています。近くの桜の名所を今年こ
そは、ゆっくりと眺めてみようと思いながら、ついつい年度終わり、初めの作
業に追われては、旬を見逃してしまっています。その代わりに川の上流部から
河口までを歩く企画の一コースで20Kmを歩きました。その途中、普段は訪れな
い他地域の「桜」を見ました。皆さんはいかがでしょうか。
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【目次】
1.1.新年度の役員決まる。
2.エコミュージアムを支援する域学連携 -山形県金山町での取り組み-
3.事務局からのお知らせとお願い
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1.新年度の役員決まる。
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去る3/23(日)に開票された役員選挙の結果、以下の方々がお引き受けになり
ました。 なお、任期は規定により、総会から次々総会までとなっています。
●会長
吉兼秀夫
●理事
淺野敏久
安藤竜二
今橋克己
井上 敏
井原満明
岩橋恵子
大原一興
菊池直樹
中野喜吉
野間直彦
三橋俊雄
馬場憲一
(あいうえお順)
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2.エコミュージアムを支援する域学連携 -山形県金山町での取り組み-
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私がお世話になっている長野県木島平村では、総務省の事業「域学連携」
に取組み、多くの学生と集落再生の取組みを進めていますが、その会合で、
宇都宮大学の蜂屋先生とお会いし、金山町で大学の参加でエコミュージアム
の取組みを紹介され、そのフォーラムに大原先生が参加されることを聞き、
今回の原稿を依頼しました。 (井原満明)
エコミュージアムを支援する域学連携 -山形県金山町での取り組み-
大原一興
今日では、地域は大学との連携による様々な事業を展開している。地域の側から
すると、学術的な裏付けによる地域行政の方向性立案や促進に対する支援、工学
技術を活かした支援、社会実験、生涯学習、学生参加による活性化、さまざまな
大学の活用方法が考えられる。大学の側からすると、学生の活きた実習の場や実
践的研究による実装実験の場の獲得、地域研究のための資料の供給元として、現
地におけるリビングラボとして地域と関わることに必要性を感じる研究分野は少
なくない。
とりわけ地域の主体性を尊重するエコミュージアム活動には、屋根の下にこもる
研究ではなくフィールドワークを旨とする実践的地域研究がその強化のために役
立つと言える。これまでにも、多数報告されてきたように、大学に籍を置くJECO
MS会員は、ほとんどすべて各地で地域のエコミュージアム活動支援に関わってき
ていると思う。その多くは、近隣の地域と大学が一体になって活動するもので、
足繁く地域に出向いて関わることによって、大学は地域から遊離せず、日常的で
継続的な交流の実践が大いに期待できる。その一方で、エコミュージアムを実践
する地域では、近隣に大学が存在しない地域も数多く存在する。
総務省の「域学連携」地域づくり活動事業は、「大学生と大学教員が地域の現場
に入り、地域の住民やNPO等とともに、地域の課題解決又は地域づくりに継続的
に取り組み、地域の活性化及び地域の人材育成に資する活動」とされている事業
だが、これまでにも全国各地で実践例が築かれてきた。その経験の上で、H25年度
の地域活力創出モデル実証事業では、あえて「首都圏や京阪神等(当該都道府県
域外)の大学生が地域に滞在」するとして、対象が地元大学ではなく、離れた地
域の大学が地域に関わることを推進するものであった。つまり、近隣大学による
関わりではなく、遠方支援を試みることになったのである。
ここから先は私見である。実は私個人は、エコミュージアムの活動は地域と大学
が一体となることが重要だと思っていたし、それを実現するためには、遠方支援
には時間的費用的に限界を感じている。しかし、昨年度この事業で山形県金山町
と協働することができ、少し考え方を改めた。遠方支援にも意味と効果はあると
思い始めている。それはプロジェクトのテーマとそれに対するプロジェクトの構
成力にある。一般的なまちおこし、まちづくりであれば、どこの大学でもエネル
ギーをかければある程度のことはできるし、できなくてはおかしい。
しかし、今回、金山町では、廃校になる学校の活用による地域のエコミュージア
ム化という具体的なテーマがあり、そのために専門的知識が求められ、東工大
(廃校の利活用)、筑波大(社会教育、地域自治組織)、宇都宮大(地域社会教
育活動)、横浜国大(エコミュージアムと建築物の保全活用)とそれぞれに必要
とされる分野から求められた。地域を目の前にして、それぞれの分野に自信のあ
る立場から専門家が議論するということが大変刺激的であった。先端異分野の融
合効果があったと思う。これによって地域住民にとっては、交流が刺激となると
同時に、確かな方向性が議論されるという高度に生産的な事業となったと思う。
何よりこれが成功したと思われるのは、各大学から専門的知識を集め採用した構
成力、いわばミュージアムにおけるキュレーションにある。金山町では、すぐれ
たコ-ディネーターの存在によりこのプログラムが企画された。ひとつの大学で
プロジェクトに必要な専門性をそろえていることはまず無い。一定レベルまでは
可能かもしれないが、その先を進めようとするには他分野専門家の応援が必要と
なる。このことに気づけば、大事なことは「先に進めるためには組織ではなく連
携が重要」というエコミュージアムの基本的な考え方に帰することが理解できよ
う。
さて、具体的には、金山町では、エコアートミュージアム(従来の日本のエコミ
ュージアムよりもアートを重視しようという対抗意識が現れている)をすすめる
プロセス提案と、そのための素材・地域資源の発見と確認、拠点としての廃校の
活用の工夫、地域の自治活動の強化などが議論された。先行して町で進められて
きた宝探しとデジタルコンテンツ化、地元山形大の学生による壁画作成、分校の
活用など、地域にある素材を活用し展開していく上での要点、さらに町民が気付
いていない文化財に対する調査研究の必要性などについて指摘をした。
おそらく、全国各地で常套手段となっている地域の宝探しレベルの活動より一歩
先を行く、本格的エコミュージアムをめざす活動として、本関連事業としてはじ
めての取り組みであると思う。今後も、大学と町の相互協力を進めていくことに
なっている。 (大原一興)
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3.事務局からのお知らせとお願い
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