メルマガ158号
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日本エコミュージアム研究会メールマガジン 158号 <2021.12.10>
発行人:吉兼秀夫 編集:中野喜吉
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我が家から見え町内の最高峰・獅子が岳(標高733m)には直径100m程の風車が
25基そびえ立ち、手前に見える300m足らずの小山は太陽光パネルで丸坊主にな
った。脱炭素社会、その為の具体策クリーンな発電システム。結果、先ず元に
は戻らないだろう緑の景観。SDGs、15番には「『陸の豊かさも守ろう』陸上生
態系の保護、回復および持続可能な利用の推進、森林の持続可能な管理、砂漠
化への対処、土地劣化の阻止および逆転、ならびに生物多様性損失の阻止を図
る。」と謳う。SDGsの辿り着くこの先、どんな世界か?(N)
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【目次】
1.全国大会、オンラインで開催される
2.「持続可能なエコミュージアムづくりについて」
3.事務局からのおしらせ
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1.全国大会、オンラインで開催される
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12月5日、参加者45名(会員外22名含む)で開催されました。
桜美林大学・浜田弘明教授を講師に迎え「博物館法改定、学芸員養成課程から
見た今後の博物館活動とエコミュージアム」と題して講演を頂きました。日本
の学芸員制度の成り立ちから最新の「博物館法」改定の話題までエコミュージ
アムにとって興味深い内容でした。内容は、機関誌27号に掲載予定です。
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2.「持続可能なエコミュージアムづくりについて」
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馬場 憲一 (法政大学)
「エコミュージアム」と称する活動は、日本各地で様々な形で展開していま
す。その活動は同好の仲間が任意で集まって私的に活動するもの、NPOなど組織
された団体による活動、自治体が関わり取り組んでいるものなどいろいろな形
で運営されているように思います。今回取り上げるのは、それらのうち自治体
が関わり活動しているエコミュージアム事業です。
ところで、私の持論は、エコミュージアムは ” 博物館(ミュージアム)”であ
り、社会教育(生涯学習)機関と規定しその視点から論ずべきものと考えていま
す。それ故、一義的には地域の人々がその土地の文化や歴史・民俗、さらに自
然などを学習することによって人づくりに貢献するとともに、結果として地域
社会の発展に寄与し継続的に運営されることによって地域の人々の学習する権
利を保障する教育(学習)機関と理解しています。
エコミュージアムをそのようなものとして理解し、1980年代末に日本に紹介
されてからの自治体のエコミュージアム事業への取り組みをみていくと、多く
の場合、その始まりは首長選に出馬した候補者が、まちづくり政策の一環で選
挙公約に掲げ、当選後にその自治体のエコミュージアム事業がスタートすると
いうケースが比較的多かったように思います。首長によるまちづくり政策の中
で取り組まれてきていたために、その首長が次の選挙で落選したり、また首長
が交代しなくてもエコミュージアム事業に取り組んできた自治体が合併などに
よって新しい自治体に生まれ変わったりするとそれまで行われていたエコミュ
ージアム事業の予算が削られ行政が関わることもなくなり、次第に事業が縮小
していくような事態も生じてきています。
これは行政に通じている人なら誰でもわかることですが、エコミュージアム
の取り組みが行政の中に十分な理解とコンセンサスが得られてきていなかった
結果であると同時に、行政内にその事業を行う十分な運営組織がつくられてい
なかったことに起因すると思います。自治体が取り組むエコミュージアム事業
にはこのような大きな課題があります。
エコミュージアム事業が開始されてからそれまでの自治体の取り組みによっ
て、住民とともに地域の文化遺産を調べたり、ガイドボランティアを養成した
り、地域の歴史講座や見学会、自然の観察会などを開催したりして、従来型の
博物館に近い事業を実施してきていたにもかかわらず、予算が付かずそれらの
事業が次年度からは継続することが困難になってしまうようなことを経験され
た方も多いと思います。
私はこの現状を先日(2021年11月7日)東京都三鷹市で開催された本会の関東例
会の折に「料理に例えるならば、料理のメニューは揃えているが、その料理を
盛り付ける器を考えてこなかったからだ」と話しました。エコミュージアム事
業という「料理」を揃えてもそれを提供する「器」、つまりミュージアム(博物
館)としての目的をはじめ専門職員である学芸員や博物館機能の規定など組織を
動かすためのエコミュージアムとしての「館則」(注…自治体が博物館や資料館
などを設置する場合、通常、必ずその自治体の条例で館則などを定めています)
を作っていませんから、予算が付かなくなればエコミュージアム事業はそこで
終了となります。
先に述べたようにエコミュージアムは自治体が事業として展開する場合は、
公教育を担う教育(学習)機関として地域のことを学ぶ人々の学習する権利を永
続的に保障していくことが求められます。このため全国各地の自治体で取り組
まれているエコミュージアム事業の継続性を担保し持続可能なものにしていく
ための仕組みづくりについて本会においても研究と議論を活発に行っていく必
要があることを強く感じています。 (馬場憲一)
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3.事務局からのおしらせ
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会員お一人一人の行動が、会の活動を進めます。行事への積極的なご参加を
お待ちしています。
≪以下は毎号同じです。≫
▼会員の皆さん、それぞれの持ち場での活動の「ひとコマ」をご紹介下さい。
また、掲載された記事に対してのご意見、ご質問もお寄せ下さい。
メルマガを待って読んでいただけるよう内容を充実させるのも会員お一人お一
人のご参加が決め手です。ご投稿いただきたい記事として
1.ご自分の地域、あるいは訪問した「各地の活動から」
2.皆に知らせたい「行事予定のご案内・参加募集」
3.過去に訪れた場所への「気になる地域へのお伺い(質問)」
4.今後「会に望む活動」等など、特にテーマを絞りませんのでどしどし投稿
下さい。
▼ 会員外も含む、エコミュージアムに関心をお持ちの方々の情報交換の場と
してのメーリングリスト[エコミュージアムML]があります。
会員外も参加いただけますので、お知り合いにもご紹介ください。
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