日本エコミュージアム研究会

Japan Eomuseological Society

 
 

メルマガ151号

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日本エコミュージアム研究会メールマガジン   151号   <2021.6.3>

発行人:吉兼秀夫  編集:中野喜吉

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【目次】

1.2021年度総会・報告

2.「なつかしい未来」

3.「リニア中央新幹線の行方」

4.事務局からのおしらせ

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1.2021年度総会・報告

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去る5がつ16日(日)14:00~15:00オンライン(ZOOM使用)にて2021年度の総会

が開催されました。

事務局から会員状況及び会費納入状況について、2021年度末(3/31)現在、

正会員66名、団体6団体、入金状況:個人34名、団体6団体と報告があり、つづい

て下記の議案がありました。

1.2020事業報告

総会開催(意見交換会zoom使用) 8月22日

オンラインシンポジウム    10月17日

記録は機関紙26号に掲載予定(担当:浅野)

研究大会(担当:大原理事)  12月13日

機関誌25号の発行(馬場編集長) 3月8日発送

後援 キープ協会・第13回つなぐ人フォーラム 2月10日

理事会開催 (7月3日、7月25日、8月18日、22日)

事務局移転 (9月)

メルマガの発行 (134号~148号)

2.決算報告/監査報告 (別紙・決算書)

3.2021事業計画

総会 5月16日(日)14:00からオンライン

全国大会 オンラインフォーラム(担当:井上、江水) 12月5日

研究大会 会員の自由報告   (担当:森屋)7月25日(日)

例会 関東例会・三鷹市予定 (担当:馬場、榎原、森屋)11月7日

機関誌発行 26号(2020年度分) (担当:菊地) 原稿締切7月、9月発行

27号(2021年度分) (担当:須田、榎原、馬場)2022年3月発行。

メルマガ発行 149号~毎月発行

各事業は、現在コロナ禍にありオンラインを基本とし状況により可能な場合

は実地で行う。

4.予算案 (別紙・予算書)

以上の議案は、全て承認されました。

(各事業計画の詳細ついては5月17日現在すでにメルマガ及びWEBページ上に公

開しています)

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2.「なつかしい未来」

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-過去から現在、そして未来へ向けたエコミュージアム-

井原満明(地域計画研究所)

近年、地方や農村で地域の人たちと話し合う中で、「なつかしい未来」とい

うフレーズを思い出し、そしてそのフレーズを使い始めている地域もあります。

「なつかしい未来」は、「懐かしさ」と「未来」というある意味では矛盾した

言葉ですが、かつて1980年代のバブル経済期(あるいはその前の高度経済成長

時期)に使われていた記憶があります。それは、高度な科学技術に裏付けされ

た「未知なる世界(未来)」に対峙し、地域の食材を活かしたスローフード運

動、地域の環境や資源と結びついたツーリズム運動などに呼応して使われてい

ました。

数年前にロンドン郊外の大規模な建設現場を通りかかったときに、その塀に

2つの将来像のイメージ図が描かれていました。1つは丘の上に立つ原子力発

電所、高層ビルの建設、自動車であふれる道路、汚れた小川、もう1つは風力

発電、歴史的な街並み、保全された農地、小川では子どもたちが遊んでいる図

です。前者にはXが、後者にはレ点が書き込まれていました。その地域は、歴史

的な由緒ある町で遺跡や文化資源などもたくさん保全されている地域です。あ

たかも『私たちは後者の将来像を目指します。』という意味にも捉えられます。

「なつかしい未来」は、決して後戻りを意図するものではなく、「身の丈の

未来」「手の届く未来」として実現可能な社会、確実に自分たちの力で自信を

もって歩みだせる社会でもあります。今日的には、地球温暖化防止や持続可能

な社会、SDGsなどが問われ、その重要性が指摘されています。それらを踏まえ

ながら、子どもたちや高齢者たちも描くことが出来る「もう一つの未来」です。

過去の資源や遺産を守り、現代的に活かし、いつか来た道がイメージできる「

なつかしい未来」、この未来に向けた取組みにも、エコミュージアムの視点が

求められているものと考えます。              (井原満明)

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3.「リニア中央新幹線の行方」

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長塚誠

<前提>

私の住む静岡県川根で、「川根地域まるごと博物郷」といった活動をしていた

のは、20年前になります。

その後も個人会員としてお世話になっております。

当時から、私の当地のエコミュージアムのステージは、南アルプスを遡源とす

る、閉塞谷川である大井川水系そのものでした。

何ともダイナミックなミュージアムだろう、と自嘲気味に思ったりもします。

最近、地域の考古学者の作業(池田純著『大井川流域の文化Ⅰ』ボイジャー・

プレス 2021)を電子書籍化させていただきました。

別途案内を添付させていただきます。

この作業も、大井川流域の遺跡(主に縄文)を確認することにより、原生的な

大井川の姿を彷彿させたい、と思います。残された遺物に限りはありますが、

遺跡を踏査する契機になれば、と願います。川根には博物館はありません。エ

コミュージアムへの誘いです。

<リニア中央新幹線計画はいつ始まったのか?>

JR東海がリニア中央新幹線(以下、リニア)建設を表明したのは2007年です

。国土交通省が認可したのは2014年。この間、7年間を要していますが、実際に

「交通政策審議会」での審議は2010~’11年の14か月でした。

2016/06/01、安倍前首相は「新たな低利貸付制度で、リニア計画を前倒しする

」と発表。無担保、30年間元本返済猶予、金利平均0.8%という3兆円の財政投融

資を実行しました。前倒しによる国家プロジェクトのスタートとなりました。

建設費用は7兆円余(2021年4月27日段階)とも試算され、2009年のJR東海の報

告書では、完成後の年間維持コストは4千億円余とされています。(「日経ビジ

ネス」2018/08/20 No.1954)

<リニアの現状と静岡からの報告>

各地の工事状況の詳細は把握できていませんが、静岡から見ますと、長野工区

が西側から迫ってきています。トンネル工事が多いので、掘削土で一つの谷を

埋める。リニアへの送電用高圧電線鉄塔建設のため、ブナなど樹木伐採の準備

が進められているようです。

「静岡工区の推移も定かではないのに、既成事実を積み上げるような中部電力

、JR東海の森林伐採の延期・中止を求める」といった署名活動を長野県大鹿村

の方がなさいました。

静岡工区も南アルプストンネル工事のための準備工事は進められています。静

岡市単独の対応によるものです。外堀は埋められてきています。

しかし、今月7日の静岡県議会で、川勝静岡県知事は「私はリニアに長く関わり

、整備に賛成してきた。しかし、大井川の水や南アルプスの自然環境に悪影響

を及ぼすならば、認めることはできない。」と明言されています。(「毎日新

聞」2020/12/08)

本年夏頃は、近隣自治体から、工事遅延に関する静岡の対応を批判する意見も

聞かれました。「静岡が悪い」というものです。

JR東海の金子社長は「2027年には間に合わない(開業は困難)。」という発言

の繰り返しでした。

南アルプストンネルは品川・名古屋間での最速コースとして選択されたようで

すが、国立公園内であり、ユネスコ・エコパークに認定されている自然遺産で

す。

このような環境下でのトンネル掘削は未だかつてなかったことです。国立公園

法との整合性、ユネスコへの弁明など危惧は次々と派生してまいります。

東京都世田谷区や調布市で問題になっている地面の崩落は、「大深度地下利用

法」の下、違法とはいえないようですが、大深度工事への不安も増してきてい

ます。

南アルプストンネル工事は国立公園内ですし、ユネスコが自然遺産として認証

しているエリアです。

静岡では南アルプスと大井川の保全のため、「静岡県内リニア工事差止訴訟」

が10/30静岡地裁に提訴されました。

また、静岡県と共に市民が協働するための署名活動も始まりました。大井川水

系62万人の願いを託して活動しています。

大井川の水を守る62万人運動H.P.

https://ooigawasave.wixsite.com/website-1?fbclid=IwAR2jm2SuaLzRBsMhhdii

KQOlegyBiPF_d1_IOXc8C8D60NprbV1cy7pAPXA

大井川の水を守る62万人運動 F.B.

https://www.facebook.com/groups/408451843630301

オンライン署名

https://bit.ly/3as7Z31

クラウドファンディング

https://readyfor.jp/projects/Ooigawa-River?fbclid=IwAR3uhQMAFOhNXJN98ez

qe1DweffsMqGSSekp2OkmXOJ88KPu4umNcZLxBoQ

南アルプスの情報は下記のようなものを参照してください。

南アルプス高山植物保護

http://www.pref.shizuoka.jp/kankyou/ka-070/s_alps/index.html

南アルプスを未来へ!動画も配信されています。

http://www.pref.shizuoka.jp/kankyou/ka-070/20200924minamialpsdouga.html

<リニアの事業プロセスは何故このようなことになったのでしょうか?>

何より情報の乏しさだったと思います。JR東海の調査報告書は、一部非公開

のものがある、と今年になっても指摘されています。人名や環境への負荷に直

結するデータも含まれるかもしれません。

国土交通省のリニア有識者会議は今も一部非公開ですし、関係自治体の議員

までやっと視聴できるようになったようです。

素人の素朴な疑問にも答えてくれる人はいません。

たとえば

①500km/時の車両がトンネル内で擦れ違う状況はどのようなものなのか?

②トンネル内で停止した場合の、乗客の救出はどのようになされるのでしょう

か?南アルプストンネルですと標高1000メートルは越えています。2月ですと車

外は氷点下です。ジョークと思いますが、ネットにはJR東海は「乗客同士で助

けあって」といった返答だったと書き込みがあります。

リニア中央新幹線については、以下をご参照ください。

http://www.linear-chuo-shinkansen-cpf.gr.jp/sikumi.html

<静岡は悪者ではありません。本当の国益を提言しています。>

Withコロナというリモート社会が到来しています。

リニアのような巨額のコストを将来世代を含めた私たちは乗り越えられるでし

ょうか?多くの不安の中で、皆さん苦しんでおられます。推進されている方々

も同様です。

南アルプスルートが暗礁に乗り上げています。静岡が悪者ではなく、天の啓

示と受け止めていただきたい。巨大な電力を消費するリニアは原発の再稼働と

リンクしている、といった指摘もされています。

長塚誠「大井川問題とは何か?」

https://note.com/mako_project2/m/m30887729a170

(長塚誠)

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4.事務局からのお知らせ

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会員お一人一人の行動が、会の活動を進めます。行事への積極的なご参加を

お待ちしています。

≪以下は毎号同じです。≫

▼会員の皆さん、それぞれの持ち場での活動の「ひとコマ」をご紹介下さい。

また、掲載された記事に対してのご意見、ご質問もお寄せ下さい。

メルマガを待って読んでいただけるよう内容を充実させるのも会員お一人お一

人のご参加が決め手です。ご投稿いただきたい記事として

1.ご自分の地域、あるいは訪問した「各地の活動から」

2.皆に知らせたい「行事予定のご案内・参加募集」

3.過去に訪れた場所への「気になる地域へのお伺い(質問)」

4.今後「会に望む活動」等など、特にテーマを絞りませんのでどしどし投稿

下さい。

▼ 会員外も含む、エコミュージアムに関心をお持ちの方々の情報交換の場と

してのメーリングリスト[エコミュージアムML]があります。

会員外も参加いただけますので、お知り合いにもご紹介ください。

1.お名前(本名)

2.E-mailアドレス

3.お住まいの都道府県名を事務局までお知らせください。

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