メルマガ96
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日本エコミュージアム研究会メールマガジン 96号 <2015.08.16>
発行人:吉兼秀夫 編集:中野喜吉
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今年も8月15日がやってまいりました。特に70年目、ひときわ思いの深い終戦
記念日ですが、若い皆さんは、どんな思いをめぐらせる事が出来たでしょうか?
戦後生まれの私ですが、叔母が空襲の焼夷弾でのケロイド状の足を隠すため、一
切スカートをはかない事を見ています。「積極的平和外交」には、総理のより誠
実な言葉で記念日を迎える事を期待したのですが・・・
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【目次】
1.全国大会in石巻の日程おしらせ
2.8月に思う エコミュージアムと戦争と平和
2.事務局からのお願い
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1.全国大会in石巻の日程おしらせ
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今年度は、宮城県石巻市です。例年のような地元の方のお迎えの形式ではなく、
研究会会員が地域を訪ねて自分たちの目で地域を深く見つめる旅のような形に
なるかもしれません。
日程:2015/11/14(土)~11/15(日)
場所:宮城県石巻市
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2.8月に思う エコミュージアムと戦争と平和
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大原一興
8月は、私たちの生きてきた歴史の中で、戦争という事実が日常ににじり寄
ってくるのを意識し生き方を考え直す重要な月である。今年は戦後70年の節目
でもあり、独断専横の政治の動きも気になるところで、なおさら真剣に考える
必要がある。毎日世界が直面している戦争と、とりあえず平和に見える日本社
会とは、同じ地球上で連続して存在し時間を共有していることを、つまり、世
界はつながっていることに気づく姿勢は、エコミュージアムを進める上で大事
な視点であろう。私は、エコミュージアムごっこにすぎない「エゴミュージア
ム」に終始してしまってはいけない、とつねに思っている。80年代のフランス
でも小さなホームランドとして閉ざされたエコミュージアムにならないよう警
鐘が鳴らされてきた。仲間内で自己満足に陥らないよう、世界がつながってい
る中で自分たちの領域が存在することを自覚しないといけない。
国境そのものをテーマにしたエコミュージアムをいくつか訪ねたことがある。
もともと地形・地質、自然環境が共通する土地の中で住む人たちが、たまたま
政治的に分けられていき別々の文化を創っていった歴史を知ることは、自分た
ちのアイデンティティを確信する上で必要なこと。民族の文化、その独自性を
根拠におくのが、エスノロジーを基にしたエコミュージアムの本質である。し
かし、しばしばその独自性は、お互いに侵略しあってきた不愉快な歴史によっ
て成り立つこともある。台湾の北投のエコミュージアムでは、日本軍が統治し
たことによって生活文化が変化し、その結果の現在があることを認め、排日運
動を含め議論が繰り返され、「北投学」という地元学として学習がおこなわれ
ている。世界の至るところでみられる植民地の歴史は、文化の交流や融合とい
った体裁の好い言葉では言い表せないほど、対立・攻撃・暴力がうずまく。過
去の事実だが、その怨念ややるせなさはまた、庶民に内在する重要な無形の遺
産でもある。第二次大戦の記憶としてベルリンには、「ベルリンの壁」のサイ
トミュージアム、ホロコーストの記念碑、さらにユダヤ博物館ではユダヤ文化
とその受けてきた迫害の歴史、またユダヤ文化の誇りが、きちんと市民に知識
と情報の形として記憶を伝えている。
日本エコミュージアム研究会の設立は1995年のこと。アメリカ合衆国では、
スミソニアン博物館がちょうど終戦後50年目の企画展として準備されていた
「B29エノラ・ゲイ」展が、退役軍人会ほかからの強烈な抗議によって、政治
的に中止に追い込まれた直後のことであった。凄惨な被害事実を米国民に広く
知らしむるために奔走した学芸員たちの意思とは裏腹に、あたかも原爆は日本
を救って平和に寄与したかのような言われ方が優勢となったのである。この国
の首相の言説である「次世代に謝罪させたくない」ばかりか、自らの加害の事
実をもすり替えるほどの、過去を葬る傲慢な論理に、当時の博物館の世界は大
きく揺れた。故新井重三会長が、研究会のあいさつの場面で、この問題をどの
ように評価すべきなのか、われわれの記憶とは一体何なのか、と問いかけたこ
とをはっきり覚えている。
いま、朝鮮半島北緯38度線のDMZ(非武装地帯)に、1953年から立入り禁止
区域のために結果的に保護されてきた豊かな自然環境と、その地での創造的な
芸術を付加するエコミュージアムの活動がひっそりと始まっている。これはも
はや過去の戦争の歴史ではなく、現在進行形の政治的対立そのものがテーマと
なる領域の出来事で、対立と緊張の中から平和という概念を生み出すこともで
きるのではないかと期待して見守っている。
関東周辺で戦跡のネットワークを作ろうという動きもある。8月に限らず、
エコミュージアムで戦争を考えることは必要なことだと思う。なぜなら戦争の
記憶が将来の平和をつくることになるから。それが、過去から未来へ、記憶の
前進というキャッチフレーズなのだろう。 (大原一興)
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3.事務局からのお願い
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≪以下は毎号同じです。≫
▼ 会員の皆さん、それぞれの地域での活動の「ひとコマ」をご紹介下さい。
また、掲載された記事に対してのご意見、ご質問もお寄せ下さい。
メルマガを待って読んでいただけるよう内容を充実させるのも会員お一人お一
人のご参加が決め手です。ご投稿いただきたい記事として
1.ご自分の地域、あるいは訪問した「各地の活動から」
2.皆に知らせたい「行事予定のご案内・参加募集」
3.過去に訪れた場所への「気になる地域へのお伺い(質問)」
4.今後「会に望む活動」等など、特にテーマを絞りませんのでどしどし投稿
下さい。
▼ 会員外も含む、エコミュージアムに関心をお持ちの方々の情報交換の場と
してのメーリングリスト[エコミュージアムML]があります。
会員外も参加いただけますので、お知り合いにもご紹介ください。
1.お名前(本名)
2.E-mailアドレス
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日本エコミュージアム研究会 Japan Ecomuseological Society
事務局:
〒516-2102 三重県度会郡度会町大野木1968-3 中野喜吉 気付
E-mail: jimu@jecoms.jp
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