メルマガ70号
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日本エコミュージアム研究会メールマガジン 70号 <2013.06.15>
発行人:吉兼秀夫 編集:中野喜吉
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【目次】
1.研究大会&総会プログラム
2.「地域興しにみるエコミュージアム的考え方」
3.事務局からのおしらせ
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昨年度2012年の大会が3月に開催されその原稿を含めてやっと機関誌の発刊
にこぎつけました。来週にはお手元に届くと思います。
大変にお待たせをいたしました。
この日曜日には、研究大会が開かれます。ぜひご参加ください。
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1.研究大会&総会プログラム
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日本エコミュージアム研究会・総会と研究大会2013
〇会 場:「アネックス・パル法円坂」
JR大阪環状線「森ノ宮」西へ600m(徒歩10分)
〇日 時:2013年6月23日(日)
▲総会に先立って、「なにわの宮」見学会が行われます。
ご出発前に、当研究会のホームページで時間などご確認ください。
11:30~12:30 大阪歴史博物館「なにわの宮」見学
▲ 参加事前申込者には入場特典あり(長山理事のお取り計らい)。
集合場所:大阪歴史博物館入口(地下鉄「谷町4丁目」が最寄り)
見学申込は、事務局まで、件名を「なにわの宮見学申込」として、
お名前を連絡ください。
13:30-14:00 総会(パル・アネックス法円坂)
14:00-17:00 研究発表会
17:00 解散
詳細は、HP(http://www.jecoms.jp/2013/06/14/2013soukai/) をご覧ください。
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2.地域興しにみるエコミュージアム的考え方
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秋田県立大学 蒔田 明史
私が初めてエコミュージアムに触れたのはもう20年も前のことになります。
当時は文化庁で天然記念物の保護に関する仕事をしておりました。文化庁では
“文化財としての自然”たる天然記念物を素材として、地域の自然と文化を振
り返る拠点にしようとの意図で、天然記念物エコミュージアム事業(正式には
天然記念物整備活用事業)が行われていました。私もそのいくつかに関わり、
そして、朝日町で開かれたエコミュージアム研究会の設立記念大会に出席した
のがjecomsの皆さんとの出会いでした。その後、縁があって秋田に移ってもう
15年目になります。
私はもともと自然科学(森林生態学)の研究者でして、車で1時間も走れば
ブナ林を歩ける秋田市での暮らしはなかなか快適なのですが、一方では、地方
はこれからの時代をどう生き抜くかが深刻な問題となっています。秋田の場合、
自殺率日本一とか、出生率の低下、限界集落とか、とかく暗い話題が先行して
おり、地域の特色を活かしてどう地域をもり立てていくかについてどこの自治
体も必死になっています(全国どこでもそうでしょうが)。よく言われるように、
地域興しとエコミュージアムの考え方とはかなり似たところがあります。ただ
し、秋田に来てよく感じるのですが、多くの地域興しがエコミュージアムには
なりきれない大きな要因が二つあると思います。
その一つは、“発見の小径”の整備ができていないということです(物理的な
整備ではなく、概念として)。特に異なる性質をもった“サテライト”を結び
つける努力に欠けているように思います。秋田では「豊かな自然」が一つの売
りになっています。例えば、白神山地が世界遺産になって今年で20年になりま
すが、当初よく白神の価値についてのシンポジウムが開かれました。しかし、
そこで語られることの大部分は、「自然の価値」であって、そこにはその周辺
で暮らしている人たちの暮らしや文化は登場しませんでした。自然があって、
人が暮らしていて、そして文化ができあがる。そんなことは当たり前なのです
が、自然と暮らしや文化・産業がうまく統合できていない。異なる要素を組み
合わせる、そして、その基盤には地域の歴史がある。こうした概念について、
地域興しはもっとエコミュージアムに学ばなければならないと思います。
もう一つは、“住民みんなが学芸員”という概念です。住民自身が地域の良
さを知るための仕掛けをもっともっとしていかなければならない。今、私は7
月に開催する“地域力フォーラムin秋田”というイベントの実行委員をしてい
ます。このフォーラムは、自然哲学者の内山節さんとゆずによる地域興しで有
名な馬路村農協の東谷望史さんに来ていただくのですが、その中心には、秋田
で頑張っている若者8人を据え「秋田の未来はこう切り開く」と題して秋田の
未来を語ってもらう予定です。彼らは秋田が好きで、秋田の良さを活かして新
たな地平を開こうとしている人たちです。「なまはげ・こまちを超えて」とい
う秋田の人にはかなり刺激的なサブ・タイトルをつけているのですが、それは、
文化や伝統とはそれを守るのが目的ではない。それらに学んで、その上で新た
な文化や伝統をどう築いていくべきなのかを考えることにこそ意義があるんだ
という意図からです。エコミュージアムにせよ、地域興しにせよ、地域の良さ
を知り、地域を愛することは必須だろうと思います。
私自身、現在直接エコミュージアムの活動には関わっていませんが、エコミ
ュージアムに学んだことはとても役立っています。地域興しと呼ぼうが、エコ
ミュージアムと呼ぼうが、それはあまり重要なことではないだろうと考えてい
ますが、エコミュージアムの概念は地域活性化にとって有益な概念です。自ら
が住む街に誇りを持てるように、エコミュージアム的考え方が深まっていくこ
とを願っています。
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3.事務局からのお知らせ
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前月5月15日発行メルマガの号数が「69号」のところを「68号」と誤っていま
した。お詫びして訂正します。
会員の皆さん、それぞれの地域での活動の「ひとコマ」をご紹介下さい。
また、掲載された記事に対してのご意見、ご質問もお寄せ下さい。
メルマガを待って読んでいただけるよう内容を充実させるのも会員お一人お一
人のご参加が決め手です。ご投稿いただきたい記事として
1.ご自分の地域、あるいは訪問した「各地の活動から」
2.皆に知らせたい「行事予定のご案内・参加募集」
3.過去に訪れた場所への「気になる地域へのお伺い(質問)」
4.今後「会に望む活動」等など、特にテーマを絞りませんのでどしどし投稿
下さい。
会員外も含む、エコミュージアムに関心をお持ちの方々の情報交換の場とし
てのメーリングリスト[エコミュージアムML]があります。もしアクセス不可能
な方みえましたら、事務局までご連絡ください。
ml-ecoms@googlegroups.com をご利用ください。
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日本エコミュージアム研究会 Japan Ecomuseological Society
事務局:
〒516-2102 三重県度会郡度会町大野木1968-3 中野喜吉 気付
E-mail: jimu@jecoms.jp
ホームページ http://www.jecoms.jp
口座名義:日本エコミュージアム研究会
郵便振替:00170-0-74380 (会費振込先はこちら)
銀行口座:ゆうちょ銀行 店名:二二八(ニニハチ)普通預金 1624950
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